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自分の内面を「形」にする ---投稿雑誌『Inside Out』ブログ since 2007/11/15
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プロフィール
HN:
川端康史
年齢:
39
性別:
男性
誕生日:
1984/06/29
自己紹介:
『Inside Out』代表の川端です。
自分の内面を「形」にする。
こういった理念を持った雑誌である以上、私にも表現する義務があると思っています。
ここはその一つの「形」です。かといって、私だけがここに書き込むわけではありません。スタッフはもちろん作者の方も書き込める、一つの「場」になればと思っています。
初めての方も、気軽にコメントなど頂ければと思います。

mixi:kawattyan and Inside Outコミュニティー
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ロヲズ・マリィ
「迷迭香の夜」
来栖都井

【墓地】

そこに永遠があるから。墓地ほど、心かに居られる場所はない。
季節は春。時は。芳春の宵風がやわらかく通り過ぎ、夜露を浴びた草花をそよめかせ、安らぎを残していく。
草花の中には、ローズ・マリィが茂っていた。そよそよと揺れる、海の雫のようなその青紫の花びらから、心の中まで透明になるような清い香気が運ばれる。

そこにある数多の墓は十字架の形をとり、あたかも天にかしずくように、丁寧に陳列していた。
十字は完結した存在の象徴のようだった。もはや何者にも囚われず、深い眠りを阻害されることもなく、静謐に在り続けることを示す風景。

僕はその墓のうちの一つに立ち続けていた。向かい合うそれは、まだ新しい。十字に手を触れると、木製の純白は思ったよりもひやりとして硬質だった。春暖の風と、冷たい感触との差に少しだけ惑いながら、そっと目を閉じる。
夜気が肌に心地良い。
「君はなぜ死んだ」
虚空に尋ねてみるが、問いは紫煙のように霧散していく。

しんと静まりかえる墓地に、再び春の夜風が吹く。
やはりそこに安らぎがあったが、『安らぎは寂寞の一端である』という詩人レイ・K・ホワイトの詞が脳裏を過ぎていった。

丁寧にそっと隠されたような切なさが、しめやかに馨る。

ふいに足音が聞こえた。僕の背後に立ったようだ。
「またここね……」
後ろで女の声がする。
厭きれたような、疲れたような、祈るような声だった。
「もう夜遅いわ。どれだけ長い時間たっていても、得られるものは決まってるわ。ずっとここにいられるわけじゃないの」
「……村尾さんか」
振り返りもせず、感情を殺して返事をする。
「……もう戻りなさい」
疲れた音が彼女からも聞こえた。
「ああ……」
呼吸をするように適当に相づちを打つ。答えるべき言葉が多すぎて、答える言葉を選べない。
「……温かいコーヒーを煎れておいてあげるわ」
やるせない慰めのように言い残すと、微かに土を踏む音が聞こえて、遠ざかっていった。
「なぜ死んだんだ。僕が―――殺したからか……」
問いはやはり深遠なる蒼い闇の中に霞みゆくのだった。


【フィレンツェ】

――――フィレンツェのエスプレッソは宵の味がするよ

乏しい財産を使いきってイタリアへと飛んだ理由がそこにある。

一体どんな意味だろう、見当も付かない。感覚的な言葉だった。いつ覚えたのかも定かでない。それなのに、響きだけは潮騒が浜辺へ押し寄せるように耳に残っている。意味はわからないのに心の中でふわりふわりと漂い、そこから目を離すことができない。
宵……。宵とはなんだろう。辞書に従えば、それは夜のことだ。けれど、夜の味がするエスプレッソとは果たして存在するのか。というか、僕は夜の味なんて 味わったことがない。夜は日照の終了時に訪れるものだ。味覚では感じない。当たり前だ。当たり前すぎる。夜に味は無いのだ。あえて言えば、夜になって変化 する気温や湿度を舌の触角で感じること。だけど、そういう意味ではないだろう。確証はないが、やはりそれでは言葉として意味がない。「直観的に」そう思 う。
直観というものは人にとって大切なもので、それはカントを読まなくても倫理の基準であることは明らかだ。ア・プリオリな直観に従うということが全ての前提 ともいえ、後から行う論理的な正当化などはその価値観をなんとか他者と共有化するための涙ぐましい努力に過ぎない、それだけに僕は直観に従うということを 「フレーズ的に非論理的だ」というだけで一蹴することはできず、やはりここに沿って行動する……いや、そう行動していくことしかできない。
こうした直観によると、やはりこの「宵の味」にはなにか意味があって、僕にとっては重大なことのようだ。
それにしても、意味のある言葉として解釈するにはどうすればいいのか。なにかの謎かけだろうか。宵を何かのメタファーとみて、そこからフィレンツェやエ スプレッソをヒントに何かを見いだせばいいのか。だけど、僕はフィレンツェもエスプレッソにも造詣は深くない。今の段階でこの謎かけに答えることはできそ うもない。答えは自分の中にある、などという巷の安易な言葉は、こんなとき「まさしく安易だな」と思わざるを得ない。
……要するに、ここまでを一言でまとめれば
「完全に煮詰まったな」
誰に向けるでもなく母国語で言って溜息をつく。うつむくと、テーブルの上のコーヒーが冷めていた。もうどれくらいここにいるんだろう。フィレンツェのそのオープンカフェには時計がみあたらない。ラテンに遅刻なる観念は無いらしい。

「煮詰めたみそ汁っておいしくないのよね」
唐突に目の前で声がした。ぎくっとして顔を上げると、そこには「女」。
日本人、いや、チャイニーズかも知れないが、おそらく日本人だろう。年の頃は三十の前半くらいだろうか。二十台前半の顔つきや肌ではなさそうなものの、ま だまだ「女」として通じるだろう。バストは発達しているようで、白いブラウスの隙間、その奥のレースのブラジャーの間から豊かな白い乳房が垣間見えた。 ジーンズに覆われた太腿も張りがあり、それでいて余分という概念を思わせない。印象的な美しい切れ長の眼は、どことなく熟成した知性を感じる。髪は黒いセ ミロングで輝きがある。いわば、年を感じさせずに年に応じた綺麗さがある、というところだ。
ただ唯一残念なのは、僕は忙しいし、そもそも年上は趣味じゃない、ということだった。やれやれ、なんて残念なんだろう。五円玉が財布から落ちて、器用にころころと転がり、隙間から下水に落ちてしまった時のようだ。
「……誰?」
なるべく不審そうな面持ちで言ってやると、彼女は、「あら、ごめんなさい」と笑顔をみせ、自己紹介をした。
「私はね、村尾というフィレンツェの日本人ガイドです。日本からのツアー旅行の団体さんを相手に、イタリアの名所をガイドするのね。もちろん、日本人が案 内してもいいっていう法律でできるところまでだけど。……で、いまはその仕事が終わったんです。団体さんを空港まで送ってミラノの家まで帰る途中、カフェ によったとこ」
「はぁ、そうですか。それで僕に何か用でも?」
村尾となのる彼女は、笑顔に少しだけ困った表情を混ぜる。
「ごめんなさい、特に用というわけではないの。ただ、さっきからあなたはずっと暗い顔でそのコーヒーを弄んでるじゃない?でかき回しては手を止めかき回しては手を止め、悩んだ様子で。どうしたのかしら、と思って」
別段、こういう人間は珍しくないのかも知れない。こっちでは日本人は多くはなく、みつけたら話しかけてみたくなるやつもいるだろうし、暇つぶしをしたい のかも知れない。事実、道でぼうっとしているとしばしばイタリア人や日本人に声をかけられた。アーユーチャニーズ?というフレーズで。
「どうもしません。ただ、少し考えていました」
「何を考えてたの?」
そんなことまで聞いてどうするんだ。みそ汁を煮詰めずに作れるようになる方法ですよ、とでも云って欲しいのか。
「まぁ……芸術について、ですかね」
とりあえず適当に言っておくが嘘でもなかった。イタリアに来たのは、ゆっくりと芸術を眺めるためでもある。どうしても探求しなければならないことがあった。この国の数多の芸術作品はその役に立つはずだ。
「あら、あなたキリスト教芸術に興味が?学生さん?大学二年生くらいかしら」
「社会人です。まだ二年目ですけど」
村尾は一瞬、驚きを見せると、失礼しました、あなた、男にしては若く見えてきれいな感じだからと苦笑した。僕は息をつくと、「どうぞ」と席を勧める。
席を勧める必要はなかったかも知れない。だが、この女はガイドだと言う。ガイドならば、フィレンツェやエスプレッソについても詳しいのではないか。聞くは 一時の恥、それで都合の良いことに、旅の恥はかきすてだそうだ。藁をも掴むというわけではないが、情報は多いに越したことはない。
「村尾さん、あなたはイタリアに詳しいですよね。ちょっと聞きたいんですが。フィレンツェの存在意義ってなんだと思います?同じくエスプレッソは?」
村尾は即答した。
「フィレンツェは、革製品が有名。エスプレッソは、食後に飲むとすっきりする」
「……どうも」
やはりという感じもあったが、どうやらあたったようだ。答えようのない質問に答えてもらおうと考えた僕がやはり甘かった。
……このあたりが潮時かも知れない。さっきからずっとエスプレッソを眺めているが、宵の味などわからなかった。言われてみれば、濃厚で奥深い香りは黒色や藍色、濃緑などがまじった複雑な夜を思わせなくもないが。
僕は、じゃあ失礼と席を立つことにした。ホテルに帰って「作業」をしよう。
しかし、村尾が僕を止めた。
「あ、待って。明日、あなた暇?よかったらヴェネチィアにでもいかない?」
「はぁ……?」
一瞬、なんでそんなことをしなければならないのだ、と拒絶の感情が走る。
「ね、行きましょうよ。あなた暇そうだし、私もしばらくは暇なの。仕事は不定期だから」
人の表情を読み取れないのだろうか。
一蹴して帰ろうとすると、村尾が覗き込むように僕の眼をみつめる。
「……無料でガイドをしてもらえるなら」
自分で答えてから、はっとする。なぜかとくんと心臓が脈打っていた。それがいったい何なのか、わからない。もう一度彼女をみても、もはやその「揺れ」はみつけられなかった。
「本当?うれしいわ、やっぱりあなたは暇だったんですね、当たっちゃった」
村尾は子供のように嬉しそうに破顔した。
……やはりことわろうか。
だが、少し悩んでから、まぁいいかと結論する。フィレンツェを理解するには他の都市との比較が有効かも知れない。内側にいる限りそこが何なのかを理解する ことはできないのだ。外へ、外へと向かう。それが遠回りながら内を理解する手段かも知れない。どのみち煮詰まっていることもあるし、方法を変えてみても良 いかも知れない。
それにしてもだ。
「……なぜ僕なんですか。暇ならヴァカンスにでもいったらいいのでは」
村尾は小首をかしげながらうーん、と唸ってみる。
「……あなたは私の息子に似てるのよ。旅費も地図も計画も持たずにサンダルでふらっと外国に行っちゃうのよ。おかげで私はずいぶん世話焼きになってしまいました」
「……息子さんいるんですか?」
「いえ、いません。娘だけです」
「……」
何しろ季節は春だ。この人の脳もそうなのかもしれない。
……なんだっていうんだろう。しかし、僕があきれの態度を表すより早く、彼女は話す。
「でも、息子がいたらあなたみたいだったとおもう。それに……なんだかそう、なにか隠していることがあるような気がして気になるわ」
「隠していることぐらい誰にだってあるでしょう。息子はイロイロな本を下手に隠す習性がありますしね」
「それはそうだけど……」
勘の鋭い女だ、と思った。否、女というのは勘が鋭い生き物なのだろうか。どちらでもいいが、いま彼女の言う隠し事を話すわけにはいかない。話さないから隠し事というんだ。
「で、どうするんです?とりあえず」
「そうね。それじゃあ、今日はこれで解散にしましょう。で、明日また集合ね。あなたのホテルはどこ?あっ、その前に名前は?」
「山田太郎。ホテルは最寄りの路面電車で四ブロックいったアタ・ホテル。10時に305号室にきてください」
「あらぁ、夜10時?太郎くん、おばさんを誘ってるんですか?」
彼女は大人びた涼しげな切れ長の瞳で微笑する。僕はそれを無視して立ち上がると、カフェを背にして歩き出した。道の石壁に落書きされたジャパニーズコ ミックとおぼしき絵に、なぜか『根性』とかかれていたのが気になった。ついでにちらりと後ろをみやると、村尾が白い椅子に上品に座り、にこにこと笑みをう かべてひらひら手を振っているのがみえた。奇妙な女も、多少は気になった。


【断章】

とろけるような夜に、二人がむ。
その、よくある東京のマンションの一室は、夜になると姿を変える。どこか遠く深い森の最奥のように現を忘れ、おっとりとした狂気が子守歌を歌うように、 闇色が世界を支配する。ここではない別次元の空間を創り出し、その空間は脆く繊細で……儚い。ふとした均衡の変化でいつ崩壊するかもわからなく、それにも かかわらず、あたかもその穏やかな闇のシンフォニーが波の静寂のように永遠に続くことを予感させる。

宵の閉鎖世界の中心にいるのは一対の男女だった。
どこからどこまでが各々の身体なのか。夜の世界と、男と女の素肌は曖昧に混ざり合い、複雑にからみつき、はっきりとした境界を失う。小さな窓から差し込 む薄明かりは、部屋奥の二人にまとわりつくようにあるとろりと濃厚な闇に飲み込まれ、なお一層に夜が抱く幽玄を浮き彫りにする。

一対の男女は互いに見つめ合っている。少女には琥珀色の眼差しがあった。それはその少女の眼。全てを透過するような瞳。何も視ていないようで、遠くの何かを視ている。何も語らず、また、全てを物語る。人形のように、知られざる生命のように。
見つめられる男は無言だった。二人きりの夜にだけ時折見せるその視線が解らなかったからだ。魅入れば魅入るほど迷宮の中に落ちていくように。遠くにあるなにかが見えない
ような、なのに自分は全てを捉えられてしまうようなその視線が漠然と怖ろしくもあった。
それでも、そのようなものは錯覚なのだと男は自らに言い聞かせる。なぜなら、少女自身が自らの所有者はその男だときめているから。彼女自身が、それを男 にいつも言っているから。夜が人の影の形を変えて、少し違う存在に見せる。ただそれだけのこと。目の前にいるのは、いつもと同じあの少女だ。だから、己の 目の前で全てを受け入れ祈るように彼女は裸体でいるのだ、と彼は思い出す。
そうして、男は少女の素肌に接吻する。
ベッドに横たわる裸体の少女は、よくみると両の腕を縄で縛られていた。
「舌が……いいのか、未夜子」
未夜子とよばれる女の白い首筋に、生暖かい舌を這わせる。ぬるりとした動きは、あたかも別の淫らな生物を感じさせる。未夜子がぴくんと体を震わせる。
京とよばれる男はクスクスと冷めた眼で小さく笑った。
「うん……京のそれ、コワイから……」
繊弱やかに呟く未夜子に、京は改めて欲のたくましい隆起を覚えた。
芸術品を慈しむような、小動物をいたぶるような眼差しで男はその少女を眺める。

未夜子。それは十七歳だった。
透き通る白い肌、くっきりとした二重瞼、長いまつげ、茶色く澄んだ大きな瞳、黒真珠の光沢をもった長く美しい髪、赤く熟れたやわらかな唇、すらりと伸びた 脚、絹のような太腿。たしかにそれは神が丹念に製作した芸術品のようであった。衣服の糸くずをとるようなふとした動作でさえ、映画の一情景になりえるよう な空気があった。

「虚言も大概にしろ。何がコワイだ」
ひっ、と未夜子は息を飲む、京は虐げる者の眼をしていた。彼女の頬に舌を這わせ、官能と恐怖をあおる。
「ああ、全部の口が嘘つきというわけではなさそうだな」
京はつつと舌先をすべらせ、少女の股に隠された女の部分へ向かう。
「これが本性か?唾液がこんなにこぼれている」
「ち、ちがうよ……」
瞳を潤ませ泣きそうになる未夜子に、なお嘲笑うかのごとく京は濡れた女陰を丁寧になめまわし、陰核を突く。
「だめ……」
否定の言葉とは裏腹に、未夜子は恍惚とした表情で両脚をもぞもぞと動かし熱っぽい声を漏らす。ぴちゃぴちゃと淫らな音が闇の中に響き、やがては女の甘い喘ぎ声の方が大きくなる。
「虐めない……で……」
嬲られている、弄ばれていると思えば思うほど、それとは逆にて光る液で溢れてくるようだった。
「いじめる?それは心外だな。だって、お前のここはこんなに喜んでいるぞ?感謝こそされ、悪態をつかれることはないと思うが」
「でも……」
「いじめるというのはな、いいか、こうするんだよ」
京は女の源の豆粒をゆっくりと圧力を加えて噛み、緩め、また圧力を加える。未夜子は声にならぬ声で悲鳴をあげ、シーツの裾を掴んだ。京はそんな彼女の様子を 上目で悠々と鑑賞し、歯の動きに加えて指で充分すぎるほどに熟れた秘密の園に指を入れ、蠢動させる。そしてはじめの痛みが快楽にかわってくるとおぼしきと ころで「いじめ」をやめる。
「どうだ?いじめは痛かったか?まさかいじめられて気持ちいいなんていわないよな」
意地悪げに京がきくと、彼女は気持ちいいとは言えず、黙って弱々しく頷くしかない。
それをみて、京は爽やかににっこりと笑った。元々若々しく中性的な顔つきをしている彼が闇の中でそのように笑うと、それはもはや寒風を纏う笑みである。
「よし、じゃあもういじめるのはやめよう。清い関係で行こう」
彼はいうがはやいか、暗がりから下着を探り出し着用する。
「ま、まって……!」
未夜子はあわてて起きあがり、京の腕を掴んだ。
彼は、予定通りだとほくそ笑む。……手のひらの上だ。彼女はいやがるそぶりで何を望んでいるのか、次に彼女がどう動くのか。未夜子のことはすべて自分の 意志でどうにかできる。神がエントロピーの動きを決定づけ、質量の不変を定めたように。自らは未夜子を決定づけ、定める。そして未夜子もまた、その見えざ る手による支配を悦ぶ。なぜなら、それは、予定調和という名の完結された芸術だからだ。星々が決められたように運行し、恒星が正しく煌めくように、この漆 黒の中心で産み出されている予定調和の創造は、一種の世界の創造だ……。

「虐められたくないんだろう?」
にまにまと笑う京に、未夜子はうつむいてふるふると首を振る。そして顔を上げ、悲しそうな眼差しを彼にむけてくる。
 
ゆらゆらと、彼女の双眸がゆれた。宵闇をも飲み込むように、美しい瞳がゆらゆらと。
どくん、と京の鼓動が高鳴る。
『だが、どちらだ』
彼の思考の中で、誰かが囁く。
……何が。何がどちらだというんだ。
刹那の時、京は自問する。だが、その自答は刹那よりも早くかえってくることを京は知っていた。
『縛られているのは、どちらだ』
馬鹿な、と彼は一笑に付す。彼女を縛っているのは、俺だ。縄も、行動も。未夜子という、圧倒的に美しい存在を俺は縛り付けている。未夜子も、それを望んでいる。それを知っているから、俺は縛り付けていられる。

「ねぇ、京……かえらないでよ。ね、京に帰られたらわたし、悲しいよ……。一人にしないで、京、一緒にいたいよ……」
未夜子はさめざめと泣き出す。縛られたままの両腕で涙をぬぐうと、頬を真っ赤にし、脆く小さく呟いた。
「あ、わたし……京にだったらいじめられてもいいの」
その頼りなくか細い声は、かろうじて闇に飲まれることなく京に届く。すると彼はにまりと笑い、震える彼女の髪をなでる。
京はクククと、さも可笑しそうに笑った。そしてかわいそうなものを見るような視線を、涙を流す未夜子に浴びせかける。
「それじゃあ、いじめでも何でもないな。……もう自分でしてしまえよ」
「じ、自分でって……」
「自分でしてみせろ」
有無をいわせぬ強い口調で京は述べる。彼女はこくりと首肯すると肩を地に付けて四つんばいの状態になった。屈辱的な体勢に、しかし、恥辱にまみれればま みれるほど彼女の秘密は敏感にひくつくようだった。右手の中指で陰核に触れ、せわしなくこね回しだす。生暖かい吐息が漏れ、蜜がとろとろと太腿のほうへ流 れていく。
「こんなところをお前の親が見たらなんていうかな。写真でも撮っておこうか」
「だめっ……」
未夜子の反射的拒絶を聞くと、京は服を着る動作をする。
未夜子が、表情が硬直をみせる。
「あ、わ、わかりました……だから帰らないで。もっとするから、もっと恥ずかしいところ見せるから……」
なおいっそう激しく秘部をいじる未夜子に、京は冷ややかに言う。
「変態が。仮に俺が帰ったとしてもいじり続けるんだろ」
彼女はさらに頬を火照らせた。
「淫乱女、お前みたいな変態には罰を与える」
京はよがる彼女に指を入れ、もう片方の手でたわわに揺れる乳房をもみし抱く。乳房の中心は充血して突起し、蜜壺は指を切なくくわえ込んできた。
新しく加えられる刺激に、彼女はますますの興奮を覚え、吐息は激しくなる。未夜子の女性の穴と京の指が奏でる官能的な音が、部屋中を満たす。
「もう……だめ、だめ、ダメ……」
未夜子は女の喜びの絶頂を迎えようとしていた。京は彼女の耳元で小さく息を吹きかけるように囁いた。
「いってしまえよ、淫乱」
「――――っ」
次の瞬間、未夜子は悲鳴のようなあえぎ声を上げきると、びくんと体を痙攣させ、未夜子はがくりと崩れ落ちた。



しばしの間、静寂が漂った。まだ少し熱を帯びた未夜子の吐息だけが、微かに聞こえてくるのみ。微風に揺れる木々の葉が森の静けさを醸し出すように。
目をつぶって快楽の波にたゆたう彼女を、京は深夜の霧のように静かに見つめていた。
……未夜子は、いつもより大きな快楽を得ようとする。そのためなら、どんなことでも受け入れる。ひどければひどいほど、彼女にとっては興奮となり得る。 快楽に対して寛大で純粋だ。俺はどうなのだろう。いや、愚問だ。俺は俺だろう。したいことをしているし、視たいものもみている、聞きたい声も聞いてい る……

「未夜子。見たいものがあるんだ」 
京は、くったりと横たわる少女の臀部を平手でばちんとたたく。高らかな小気味のいい音とともに、未夜子が繊細に悲鳴をあげた。
「え、なに……」
「お前が壊れるところが見たいんだ」


【ヴェネツィア】

「娘の初体験はレイプに近いようなんです」
第一声がそれだった。
僕たちは水の都を巡るゴンドラツアーに参加し、船に乗ってまもなくのことだった。
花時分、萌ゆる蒼穹の下、お伽話に出てくるような小舟の上で、わが子の強姦話を話すというのはどんな気分なのだろう、と湧きる泉のように話す村尾の表情からそれをよみとるのは不可能だ。あらゆる光景を何の変哲もない光の屈折現象として網膜に映しているだけのようだった。
「もちろん、完全なレイプじゃないとおもうわ、相手は知り合いですから」
「知り合いなら合意かもしれませんね。都合が悪くなるとあれはレイプだったという、よくある話だ……なんていうのはシニカルすぎますか」
「いえ、そういうことじゃないんです、私は娘から何も聞いていません、彼氏がいるともなんとも。でも解るんです、親ですからね。あの子は隠しているつもりでしょうけど、表情の影を見ていれば女というのはそれが解るんですよ。……娘には早すぎました」
「娘さんはいくつですか」
「あのときは十五歳です。そのときから、あの子はなにか言葉にできない悩みを抱えていたように思います。一年位たってからある日娘は私にこんなことを話し ました、お母さん、私、ある人にこんなふうにいわれたの、お前が好きだよ、お前を愛してるよって……。それをきいた私はあらよかったじゃないと彼女のわき 腹を肘でつついたんですね、そうするとあの子はちょっと困ったように笑ってくれました。そのときに私は、翳りを見てしまったんです」
彼女はヴェネツィアの穏やかな青空を見上げて一呼吸すると、つまりねと続けた。
「こういうことだとおもいます、その『知り合い』に『好きだよ愛してるよ』と言われながら強姦され、処女を奪われたんじゃないかと。それはたいしたことなのかもしれないし、実はたいしたことじゃないのかもしれないけれど」
春暖の陽光が水面に乱反射し、遠くの世界での出来事のように燦然と煌めく。その輝きが妙に場違いで頭のなかに違和感を残す。それとも、場違いなのは僕だろう か。……いや、それも無いのだろう。矛盾を拒絶することなく、世界はその不条理すらも成り立ちの構成要素として内包したまま存在しているはずだ。その意味 で、すべてが違和でありすべては違和でない。
「それから先は、ずっとおなじ繰り返しになるのかしら、同じ問答の繰り返し、君が好きだよ、本当にそうおもうよ、そうなの、ほんとにそうなの、本当に私が好きなの、好きってなに、私って何、私がすきって何……」
ヴェネツィアの街を覆い巡る水、その表面は美しいのに水底は不気味な緑色に澱んでいる。この先数十年でにごった水で都に沈められていくのだ。でも、本当 に水は腐敗し汚染されているのか。それを確かめるすべが僕には無い。その穢れを確かめるべく水にもぐったとき、それは僕がまた同じ色に染められるときなの だから。
「だからどうしたってこともないんです。傷つく事は決してあってはならないこと、とはおもいませんから。むしろ、そういうのも人には要るんじゃないかしら」
僕はすぐにそれに答えない。
少し空気が流れてから、「そう思うならいいじゃないですか」と述べる。しかし、それにも即答はない。言の葉がひらりひらりと宙に舞い、どこかに流されていった。
村尾がゆっくりと口を開く。
「心の底からあがくような傷が、頭で痛いと思うようなものじゃなくて、何がなんだかわからなくなるような痛みと苦しみが必要だと思いませんか。膿んで、崩 れて、失って、それで初めて心が形作られるのよ。知ることと解ることはちがうことなの。痛みも無く子を産める女なんていないもの」
「どうでしょうか、残念ですけど、女じゃありませんので答えられません。それに母親としては失格なようにもみえますね。まぁ……人間失格よりはましでしょうか」
「――――人間としても嫌われるのよ、私は」
早春の風がサァと足早に通り過ぎた。それにタイミングを合わせるように、彼女は目を細める。
「傷ついて欲しい、とは極端ですよ。娘さんとしてはきっと辛いでしょうね、もっと何も言わない親を欲していたんじゃないですか。僕はそういう親がほしかったな。まぁ、薬を大量に出してくれる医者が良い医者だっていうのと同じですよ」
「よく分からない例ね、でもいいたいことは分かります。……あなたの言うとおり、昔は娘に嫌われていて、反対に何も言わない父親はとても好かれていました。うるさくないから好きって。でも夫は娘を愛してはいません。本当の父じゃなく、再婚相手なんです」
「そうですか」
実際のところ、この女の娘の話もそこまで興味はない。父親の話ももっと興味はない。それでも話をしていたのは彼女がいなければこの国で言葉が通じないことと、人に有無を言わせぬような見えない拘束で娘への愛情が伝わってきたからだ。
愛情、という言葉が適切なのかは分からない。ただ、たおやかな口調とは別に、奥の方で小さくて熱い真実の砂の一粒を感じた気がした。それが歪んでいよう と、熱した空気のみせる蜃気楼に過ぎないものであろうと、純真さだけは嘘でないのだろう。便宜上、それを愛情と考えてみただけなのだ。所詮、僕に分かるの はここまでだ。流動的で不確かな感情を理解できるなら、もうすこし別の人生を歩んでいただろう。人の心の奥底、薄琥珀色の複雑の中で眠る愛情という砂金の 粒は、しかし僕の網膜にうつった時点で他となんらかわりのない砂の粒になってしまうのだろうから。

ゴンドラは入り組んだ水路を進み街の中心へと入り込む。石造りの建物が建ち並び、伝統ある優雅な町並みを醸し出している。それらの建築物に穏やかな陽光は遮られ、影が落ちた。村尾の白い顔が薄昏くなる。
「……あなたはどう思ってる?何かを壊したいと思ったことはない?」
唐突だった。何を言っているのか、質問の意図は何なのか、何の話なのか、理解できずに言葉に詰まる。
いや、言葉に詰まるはずだった。だが、数秒の後にはもう答えていた。あらかじめそう聞かれることが、そう答えることが決まっているかのようだった。
「誰もがそれを考えたことがあるとおもいます。いえ、他人の事なんてこの際わからない。すくなくとも、僕はそうだった」
「なら、壊すってあなたにとってなんだったの」
「さて、なんだろう。あなたの言葉を借りるなら、やさしさ、でも良いと思います。愛情、慈しみ。愛という言葉が不可解に美しすぎるなら、『何か柔らかくて丸く包まれたもの』『遠い存在に望まれた誠実なエゴイズム』『時たまに感じられるあまりにも優しくあたたかい狂気』」
眼前にいる妙齢の女の顔が、赤子を安心させるかのように優しくなる。ふわりと花咲くように、目を細めて彼女は言う。
「……おもしろいわ、あなた。とてもおもしろいことを言うのね。そう、そうね、もしかしたらその衝動は、生きているがために存在している、死への根元的な憧憬なのかも知れない」
生きているがために……そこから先は彼女独自の言葉だろうか、よく聞き取れなかった。
彼女は遠くを見つめるようにゆるりと言葉を紡ぐ。
「触れてはいけないものだからこそ、その正体を確かめたくなる。自分のおぞましさをみつめてその情念に身震いし、嘔吐する。ナルシシズムが漂う恐怖に、冷徹な興奮を覚えてしまう」
彼女が誰に向かって話しているのかわからなかった。
「ねぇ、もうひとつ聞かせて?」
「いやです。しゃべり続けるのは疲れます」
村尾は女学生のようにくすっと笑うと、その黒目がちな瞳でウインクをして見せた。長い人差し指を立て、「ねっ、今夜はおいしいジェラートをごちそうする から」。若作りな仕草がなお似合っていて、妙な感じがした。僕は短いため息をつくと、一応チョコレートを所望する旨伝えるのだった。
「それで、こんどは反対よ。……壊される事ってどうおもう」
「……たぶん、そんなにかわらない」
「かわらない?」
「そう、かわらない。紙一重というか、コインのように表裏一体。本当は同じものに端を発していて、それが壊すか壊されるかどちらかに顕在化しただけで…… だから風が吹けば裏返るかも知れない。その風というのが僕には説明しきれませんが、本当に些細なことで在り方が全く代わることだってありうる。人がなにか 正体不明の不気味な物質で構成されていてそれがある瞬間相転移でもしていると言われても疑えないくらいに、理屈じゃないものが在り方を変えるんです。で も、根は同じものだと思います。たとえばよく、サディストとかマゾヒストとか区別してするけど、そういう区分は本質的には意味がない」
村尾はそれを聞く間は無言だった。その様子は、そよ風に微かにたなびく静かな湖面を創造させる。話を聞き終わっても数分間、いや、実際には数十秒の時間 なのだろうが、少なくとも僕の言葉が空間に染み渡るまではその不思議な静けさは保たれた。そして、その後でぽつりと口にした。
「私も、あなたと同じです」
僕は返事をしない。
「あなたがさっき使ったサディストとマゾヒスト。これで言うなら、本当のサディストは愛情がないとできないとおもうわ。だって、サディストは本当に大切な ものを傷つけるんですもの。これって覚悟のいることでしょう?だって嫌われてしまうかも知れないもの。嫌われてもいいから壊すっていうのは、本当の意味で のSMにはなりえないんじゃないかしら」
エスエムという言葉が、村尾にとっては何か普通の使い方とは異なるようだった。
「相手がいて互いを受け入れるから始めて成り立つのよ。ただ一方的に壊しているだけでは何も創ることはできないわ。それではたんなる暴力です。相手を傷つけることを厭いながらも、それでも相手を思いやって傷つけること。そこに本質があるような気がするの」
「実に矛盾している。自己満足だ。ついでに加えておくと、そして若人は長い話はあんまり聞けないんです」
とはいえ、村尾を否定するという意志もなかった。それが綻びに満ちた発想だとわかっていても、彼女のいたって真摯な口調が人に耳を傾けさせていた。
「創造してみると、なんておぞましい行為なのかとおもうわ。時間と労力と人格をかけてつくりあげた無二の絵画をたたき割り、引き裂く瞬間に喜びを見いだす なんて。失ったら二度と手に入らないものを大切に守らなければならないと思う一方で、この大切なものを壊してみたい、砕いて破壊してそれで私はどうなって しまうのかをみてみたい、心の底から泣き叫んでみたい、自分を狂わせるそれを断ち切ってみたい、断ち切った先に自分は存在しないことを確認したい……そん な情念がほの暗い井戸の奥で鎌首をもたげているなんて」
村尾がふいに僕の名前を呼ぶ。
「太郎君、君はさっき、サディストとマゾヒストが同じものだといったわよね」
「そうでしたっけ?」
「ふふ。……私もそうおもうわ。今話したような苦しみをわかっていながら、あえてそれを求めていくんですもの。愛するものが壊れ、あるいは好きな者から憎 まれてしまうかもしれないのに、その冷ややかな視線を予期して心を締め付けられながら在り続けようとするの。大丈夫、相手は自分のすることの意味を分かっ ている、と言い聞かせて。それに、マゾヒストも同じように、それが単なる暴力でないと信じて痛みを求めている。いえ、もっといえば、自分の欲しい痛みをサ ディストに無言で求め、誘導することだってあるでしょう。そう考えてみると、両者に違いなんてないんじゃないかしら」
そこまでいえるものか、僕には断言できない。
「それはあなたの経験ですか?」
村尾は静かに頷いた。僕はさらに「じゃあ」と続ける。
「あなたが何を経験したのか、深くは聞きません。けど、一つ。あなたが信じた絆は、あなたの寄る辺となった直観は、正しかったですか。ちゃんと確かめられましたか」
夏の終わりを隠微に愁う鈴虫の鳴き声のように、彼女はしんみりと答えた。
「どうだったかしら、おばさん、昔のことは忘れちゃったな……」
「年はとりたくないもんですね」
皮肉を言うやいなや、村尾に額をこづかれる、こう見えても結構イタリア人には口説かれるのよ、と白い歯を覗かせて子供のように笑う彼女。残念ながら僕は日本人だと返した。
「でも、そうね、一つ加えるとしたら。私は確かめるために傷つけたんじゃないわ。信じるために傷つけたの。信じるために信じたのよ。因果が多くを支配する中で、私に唯一できる能動的な意志を通しただけなの。意味、わかるかしら」
「それは――――」 
僕が何か言う前に、船頭のイタリア人が歌でも歌うかのように大きな声を出した。なんのことはない、ゴンドラツアーが終わったのだった。
「さぁ、話はここまでにしましょう。昨日、ホテルをとっておいたの。この近くですよ」
「サービス良いんですね。無料なのに」
無料、を強調して僕は船から乗降口に足をかけた。そして、最後に見納めとしてあたりの景色を見渡す。
ヴェネツィアという街は、幻想的で、それ以上にどこか虚構的だった。一つ一つの建築物がどれも荘厳な彫刻に飾られ、いかにも中世欧羅巴のイメージを魅せ る。都は伝統と美しさを誇るように悠然と海に浮かんでいる。しかしながら、村尾が言うにはこの街は後数年で海に沈んでいくのだという。地球温暖化、海面上 昇。この誇りある街は一見完全なようで、いまもひっそりと滅びへと向かっている。それこそが、僕が幽かに感じるフィクション性の根底なのかも知れない。
だが、それでも街の人間達はこれでもかと言うほど陽気だ。船頭のヴェネチアンは櫂を操作しながら軽やかに歌い、たまに曲がり角で壁にぶつかりそうになると 楽しそうにゴメンナサーイと叫ぶ。いまもツアー終着点の乗降口で村尾の手をとりアリガトアリガトと笑って連呼していた。僕らとは気質が違うのだろう。麻薬 をやっているといわれれば信じてしまいそうなほど表情豊かだ。
そのように手を引かれた村尾が身軽にゴンドラからぴょんと跳ね降りた。船から水紋が静かに広がっていった。
未だ船の上に立つ僕を振り返って、彼女は尋ねる。
「ところで、あなたはいつまでイタリアに滞在できるの?」
「いつまででしょう。およそ路銀のつきるまでですね。尽きた後は……どうしようかな」
ゆるやかに広がる波紋は、細波と交わって新たなゆらぎを編んでいく。

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